Stable Diffusionで人物画像を生成するとき、手や顔、体の歪みが気になったことはありませんか?
そんなときに力を発揮するのが ADetailer です。拡張機能として後処理で細部を補正できるこのツールは、生成画像のクオリティをプロレベルに引き上げてくれます。
この記事では、ADetailerの基本的な使い方から、 精度を高める10の補正テクニック を徹底解説します。
目次
- ADetailerとは何か?
- ADetailerを使う前の準備
- 補正できる箇所とその精度
- おすすめの顔補正設定
- 手の歪みを直すプロンプト例
- 複数人物に対応する設定方法
- LoRAとの併用で補正力アップ
- 正面以外の顔補正のコツ
- 体全体のバランスを取る工夫
- 高速&高精度化する実践テク
1. ADetailerとは何か?
ADetailerは、生成された画像に対して“部分的な再生成”を行う拡張ツールです。顔や手、体の一部を検出し、その範囲にのみ再度画像生成を適用することで、 違和感の少ない自然な仕上がり を可能にします。Stable Diffusion Web UI(AUTOMATIC1111版)に導入することで利用できます。
2. ADetailerを使う前の準備
以下の前提条件を満たしておくと、スムーズに使えます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| Stable Diffusion Web UI | AUTOMATIC1111版 |
| ADetailer拡張機能 | Extensionからインストール |
| 検出モデル | face_yolov8n.pt などを使用 |
| 生成モデル | 1.5系でもSDXLでも可 |
3. 補正できる箇所とその精度
ADetailerは以下の部位に対応しています。
- 顔(目・口・輪郭など)
- 手(指の本数・形)
- 胴体(バランス補正)
補正対象の検出にはYOLOベースのモデルが使われ、 高精度で位置を特定 できます。ただし複雑な背景や複数人物がいると誤検出のリスクもあるため、後述する設定が重要になります。
4. おすすめの顔補正設定
| 設定項目 | 推奨値 |
|---|---|
| Detection model | face_yolov8n.pt |
| Adetailer model | Anything v3.0など(生成モデルに合わせる) |
| Mask blur | 4〜8 |
| Denoising strength | 0.3〜0.5 |
| Inpaint method | “Whole picture” |
補正のポイント
- ノイズ除去強度は高すぎると破綻するため控えめに
- 輪郭が崩れないようMask blurで自然な境界を作る
5. 手の歪みを直すプロンプト例
以下のようなプロンプトを「ADetailerのプロンプト欄」に入れると補正が成功しやすくなります。
perfect hands, five fingers, detailed fingers, symmetrical fingers, photorealistic hands
ネガティブプロンプトにも注意を払いましょう。
missing fingers, fused fingers, extra digits, distorted hands
6. 複数人物に対応する設定方法
デフォルトでは最初に検出された1人のみが補正対象になりますが、「Max number of detections」を増やすことで複数人に適用可能です。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| Max number of detections | 3(必要な人数に応じて調整) |
| Apply for each person separately | チェックを入れる |
これにより、個々の顔や手がそれぞれ補正され、自然な集合写真も可能になります。
7. LoRAとの併用で補正力アップ
LoRA(Low-Rank Adaptation)モデルを併用すると、手や顔の描写力が格段に向上します。以下のようなLoRAを導入することでADetailerの補正結果もより洗練されます。
- realistic hands LoRA
- anime face fix LoRA
- SDXL realistic detail boost LoRA
8. 正面以外の顔補正のコツ
顔が横を向いている場合、正確に検出されないことがあります。その際は以下の対策が有効です:
- Detection modelを
face_yolov8m.ptなど精度の高いものに切り替える - 検出スコア閾値を
0.2〜0.3に下げて再検出を促す min sizeを調整して小さな顔にも反応するようにする
9. 体全体のバランスを取る工夫
体のバランス補正には「body」検出モデルを使います。ただし、体全体の補正は破綻しやすいため以下の工夫が必要です。
- Denoising strengthは0.2以下で様子を見る
- Inpaint only masked を選択し、周囲を維持する
- 背景や衣服に関するプロンプトも加えて安定化を図る
10. 高速&高精度化する実践テク
ADetailerは便利ですが、再生成が多いため時間がかかるのがネックです。以下の工夫で高速化できます。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| GPUメモリを節約 | batch sizeを1に固定、VRAM省略構成にする |
| 解像度を事前に下げる | 初期生成時の画像を768×768に制限 |
| Quick preview用設定 | Denoising strength を0.2にして粗確認する |
まとめ
ADetailerはStable Diffusionにおける画像補正の「仕上げの一手」として非常に強力です。特に人物の手や顔、全身のバランスに違和感があるときは、手間を惜しまず丁寧に設定することで、 プロレベルの画像生成 が実現できます。
AIアートをもっと美しく、リアルに。
ADetailerを使いこなして、あなたの作品を次のステージへ進化させましょう。


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